[解説]ITサービスマネージャ試験 2017年(平成29年)秋期 午後1 問3 テーマ:サービスデスク

[解説]ITサービスマネージャ試験 2017年(平成29年)秋期 午後1 問3 テーマ:サービスデスク
目次

テーマ:サービスデスク

出典:平成29年度 秋期 ITサービスマネージャ試験試験 午後1 問3

ITサービスマネージメントの中でも中核の管理業務「サービスデスク管理」がテーマです。
午後2試験の「ITサービスマネージャとして・・・」の視点にもつながる良問ですので、しっかり確認していきましょう。

問題文の構成

午後1試験はいかに早く「全体像を把握するか」が重要です。
問題文構成を押さえて、全体像をイメージします。

冒頭序文をいれて以下の6つのセクションに分かれています。

  1. 冒頭序文
  2. サービスデスクの概要
  3. FAQの改善
  4. 顧客増加の対応
  5. 対応の実施
  6. 標的型攻撃メールの訓練

セクションごとの概要を確認し、気になるワードやひっかかるポイントを拾っていきます。

冒頭序文

  • P社が10社からサービスデスクを受託するサービス提供会社。
  • 要員が5名いて、熟練者3名と中堅者が2名。
  • 問い合わせと故障インシデント=サービス要求を受け付け
  • すべての要求内容は問い合わせDBに記録

あえて細かく書いているところは要注意です。
人数だけじゃなく、「熟練者」などレベルを説明している点などは、意識をもって後の文章を読むようにしましょう。

[サービスデスクの概要]

  • 表1 SLAの一部。サービス提供日や提供時間帯、回答時間など具体的な数値。
  • 注にそれぞれの計算条件
  • 問い合わせ手段は電話だけ。
  • FAQの存在。初心者向けの項目を選んでいる。

表と注の内容は必ず設問解答に絡みます。特に、条件を詳しく書いているところは解答時のポイントになるので意識しておきます。

あと、「電話だけ」など限定的な表現をあえて問題文に入れるのはとても意図的です。
結果関係なかった「ひっかけ」のパターンもありますが、割と少ないです。
わざわざ「だけ」とか「のみ」などの表現を入れている文章には意識を留めるようにしましょう。

[FAQの改善]

  • FAQの項目が少ないという苦情。
  • アクセス履歴からFAQ利用状況を確認
  • 初心者向け以外にもFAQを増やした。
  • FAQ数は2倍になった

これといった引っ掛かりのないセクションのように思いますが、「アクセス履歴からFAQの利用状況を調査したところ」という文は、調査方法を明示する重要な文章です。
こういった、○○を使って××を調査した、確認したという表現が文章内にある時は、設問内でなんらか効果測定の方法をこたえるときに「この方法を使ってね」という出題者のメッセージであることが多いです。
本番ではアンダーラインを入れる箇所ですね。

[顧客増加への対応]

このセクションは長いので、いくつかに分けて概要を把握します。

まず、いきなり「来期から顧客が7社」増えます。
熟練と中堅の5人衆の腕が良いのか、イケイケ営業マンがいるのか、業績好調のようです。

サービスデスク要員の追加とIVRの導入

  • 中堅1名と未経験4名を採用して10名体制を作る
  • 未経験、中堅、熟練の3グループに分ける
  • 自動音声応答システム(IVR)を入れて効率化する
  • IVRで問い合わせ内容ごとにどのグループに電話をつなぐか振り分ける
  • 表2 顧客増加後のサービス要求想定、振り分け先現在の実績
  • 注に「緊急」と「通常」について説明がある

このセクション前半は、顧客増にどのように対策を講じたかの説明部分になります。
「人を増やして体制を厚くし、ツールを入れて効率化する」という、ITサービスマネージャの鉄板対策と言えます。

ここで、レベルに応じたグループ分けが出てきます。冒頭からレベルを説明してきたのは、ここにつながるわけですね。

あとは、「緊急」と「通常」の区分け。
問題に複雑さを加える要素ですので、必ず設問に関連すると思って気に留めておきます。

電子メールの問い合わせに手順を追加

  • 電子メールに関する回答がわかりにくい、という意見
  • 中堅者の回答がイマイチだとわかる
  • 中堅者が「通常」受付した電子メール問い合わせは、熟練者が確認するルールを追加
  • 熟練者の手が空いてない時に待ちが発生
  • 電話がつながりにくいという「苦情」に発展

苦情に発展するにいたる経緯と、SLAに関するリスクの関係性を整理しておくことがポイントです。

[対策の実施]

苦情が出てしまっては元も子もないので、さっそく対策を実施します。

  • 問い合わせの履歴から状況を分析
  • 問い合わせ総数に対する問い合わせ内容ごとの割合
  • 時間当たりの問い合わせ内容ごとの件数
  • 時間当たりの中堅者グループが対応した件数

わかったことは、「OA系ソフトウェア」問い合わせが全体の半分でトップ。
「OA系ソフトウェア」以外の12件のうち6件が電子メール関連で、6件のうち3件を中堅が対応したということでした。

電子メール問い合わせを中堅が受け付けることで確認時間を要して電話がふさがる。
熟練者じゃなくても対応できる電話が「緊急」で入って熟練者の手がふさがる。
この状況が苦情を生み出した、と読み取れます。

これらを解消するために、IVRの設定を変えるわけです。

一番多いOA系ソフトウェアを中堅者に割り振り、難度の高い電子メールを熟練者に割り当てる、という変更。
通常と緊急の割り振りをなくす。

[標的型攻撃メールの訓練]

ここで話題が変わります。

  • H社で「標的型攻撃メールの訓練」を実施することになる。
  • H社100人に事前通告なしで訓練メールを送り、URLとかファイルを開いた数をカウントする方式

H社からのサービスデスクを請け負っているP社としては、訓練メールと知らないH社の社員から問い合わせが集中することを警戒します。

なので、M氏は「過去の攻撃メール関連の状況」を確認するわけです。

  • 7月の記録で、問い合わせは2件だけどH社把握件数が10件とわかる

ITサービスマネージャとしては、訓練で発生する問い合わせ想定を作りたいですよね。
7月「10件当たり2件の問い合わせ」ということは100件発生したら20件問い合わせが発生するのでは?という見立てになるわけです。

メール対応ができる熟練者は3名ですから、20件来ちゃうとまた電話がつながりにくい苦情に発展しかねません。

M氏が「運営に影響する事象」と考えたのはこのためですね。

これを回避する策を考えてH社のセキュリティ管理担当に「要望」する、というながれです。

設問解答とポイント解説

設問1 [FAQの改善]について

(1)サービスデスクにとって期待できるFAQ利用の効果について、30字以内で述べよ

解答例:サービス要求件数の削減が期待できる。(18字)

1-(1)のポイント解説

問題本文の関連内容を探すと以下のような記述が見つかります。

  • FAQは『サービスデスクを利用しなくても利用者自身で解決可能な内容』
  • 『サービスデスクでは・・・(以下、これらをサービス要求という)を受け付け・・・』

設問で聞かれているのは「サービスデスクにとって」のメリットなので、「問い合わせ件数が減る」であるとこはすぐに想像できると思います。

解答文の原則は「本文中の表現を使う」ですので、「問い合わせ」を「サービス要求」と表現するのがベターです。問い合わせ件数、でも正解になるとは思いますが、試験勉強の時は「本文中の表現」探しの訓練のつもりで意識しましょう。

(2)実施した改善策が有効であることを確認する方法について、”利用者からの苦情が減少すること”以外の方法を40字以内で述べよ。

解答例:Webサイトのアクセス履歴で、今回作成したFAQが閲覧されていることを確認する(40字)

1-(2)のポイント解説

これも本文中の関連内容を探してみます。

  • 『Webサイトのアクセス履歴から、FAQの利用状況を調査』
  • 『FAQのアクセス数も少ない』

FAQの利用効果測定に「Webサイトのアクセス履歴」を使ったと書いてあります。
実施した改善策=FAQの数を増やすなど「FAQの利用を増やす試み」でしたよね。

有効だったかを測るのは、増やしたFAQの閲覧数ということになります。

設問2 [顧客増加への対応]について

(1)本文中の下線(ア)について、特定したリスクを30字以内で述べよ。

解答例:回答時間15分以内を守ることができない可能性がある(25字)

2-(1)のポイント解説

下線(ア)の内容を書き出してみます。
(ア)表1のSLAに関するリスク特定を行った。

  • 下線(ア)の直前の内容は「電話がつながりにくくなった」という苦情
  • 苦情を受けたM氏は「開始から終了までの状況」を調査

電話がつながりにくい状況が発生するということは、「電話が長引いている」ということになります。
つまり、1つの問い合わせにかかる時間がながくなっている、ということになりますよね。

では、SLAの表には問い合わせの回答についてどのように記載しているかを見ればいいですね。

回答時間:15分以内(95%)

SLAのリスクを考えると、15分以上かかる問い合わせが発生すること、となります。
本文中の表現を使うほうがベターなので「回答時間15分以内」を守れない、という表現になります。

(2)M氏が、(1)に挙げたリスクを特定した理由を、40字以内で述べよ

解答例:中堅者が電子メールの問い合わせを受けた際に、確認に時間がかかるため(35字)

2-(2)ポイント解説

何が起きているかを端的にまとめる必要があります。

  • 『熟練者に確認してから、利用者に回答する』
  • 『すべての熟練者が他の問い合わせ対応・・・開始を待つ必要がある』

誰が→中堅者が
いつ→電子メール対応
なにに→熟練者への確認に
どうなる→時間がかかる

あとは文字数を調整して解答、というながれです。

設問3 [標的型攻撃メールの訓練]について

(1)本文中の下線(イ)について、サービスデスクの運営に影響する事象を、理由を含めて40字以内で述べよ。

解答例:訓練メールに関する問い合わせ件数が増加することから電話が繋がりにくくなる。

3-(1)ポイント解説

M氏は、訓練で発生する問い合わせ想定を作ったと想定します。
7月「10件当たり2件の問い合わせ」ということは100件発生したら20件問い合わせが発生するのでは?という見立てですね。

20件来ちゃうとまた電話がつながりにくい苦情に発展するなぁ・・と。

ここは、比較的想像しやすい設問ではないでしょうか。
あとは、「電話が繋がりにくくなる」という表現をつかうことくらいですね。
増員の時の苦情内容とシンクロさせることで、採点者の「よしよし、わかってるな」をゲットしましょう。

(2)本文中の下線(ウ)について、H社に要望した内容を、30字以内で述べよ。

解答例:訓練実施日を増やして、1回の訓練対象者を少なくする。

3-(2)ポイント解説

ここは本文中にヒントのない、ITサービスマネージメント知識を問う問題といえます。

『影響ができるだけ少なくなるよう』な要望ですよね。
影響=問い合わせ集中、と考えると、問い合わせを減らすか分散するか、という発想になります。

訓練参加者数そのものを減らすというのは、H社の訓練要件が満たせないのでダメですよね。本文中にはそういう制限の記述はないですけど、一般的にいってそれはないでしょう、と。

とすると、回数を増やして1回あたりの参加者数を減らすことで、問い合わせを「分散」というのが現実的になります。

本文中に、実施する日付が明示されている点にも注目です。
わざわざ日付を記載していて、曜日にも絡まず前後に日付の要素がないということで、「日数を表現したい」という意図がくみ取れます。

以上